アーシング(定量的評価)

最終更新日:2005. 8.15

 突然ですが・・・・
 アーシングはやらないつもりでしたが、やりもしないで定性的な評価だけで効果を否定しても説得力に欠けるのと、最近コンデンサーをバッテリーに並列に繋ぐだけのボルテージチューンに効果があるという話がさすがに無視できず、こんなもので効果があるとなると、アーシングも無下に否定はできない状況になってきました。
 とはいえ、実際にいつやるか・・・まだ決っていませんが、タイミングを見てアーシングとコンデンサーチューニングを順次実施して検証してみようと思っています。

 検証は、燃費での比較になると思います、定性的評価側でも記載していますが、トルクアップするならば、必ず燃費がよくなります。 体感で変わったとか、信号のノイズがどうしたとか、アースにより電流がどうなったとか・・・、んな事は何の証明にもなりません、・・・というか、そんなのは効果を証明できない証拠とさえいえます。(^^;)
 燃費にしても、1回や2回ではお話になりませんし、季節の違いもありますから、移動平均を取りながら、数ヶ月はデータを取らないとダメでしょう。



 このデータは、My VOXYの購入時から現在までの燃費データです、青がその都度の燃費、紫が当初からの平均燃費です。
 注意していただきたいのは、このグラフは縦の軸を拡大してありますので、変化が誇張されて見えますが、実際の変化はほんの僅かのものです。

 さて。これ見て、どう思われますか?、7,000km走行したくらいから燃費が急によくなっていますが、実はなーーんにもしていません。 もしこの前後でアーシングなどしていたら、絶対に勘違いしますよね。
 燃費で比較するにしても、難しいですよね、かなり長期間測定して、更に最終的には元にもどしてどうなるか・・・まで見極める必要があると思います。


 「実践編」で記載していますが、2004年5月にアーシングを施工しました。
 その後の燃費の変化ですが、若干良くなったように見えなくもありません。
 しかし、紫のトータルの平均を見ていただくと、軽い右上がりの傾向がある事がわかると思います。 これは、タイヤの摩耗により、徐々に見掛け上の燃費が向上したり、運転者が車のクセに慣れてくることによるもので、一般的にはこのような傾向を辿るのが普通です。
 実際に、アーシングにより燃料消費率がよくなったのであれば、この平均燃費のカーブの角度が急にならねばいけません、カーブは徐々に緩やかになって行っていますし、アーシングを撤去したあとも、同じように向上を続けていますので、アーシングには何も効果が無いと断言してよいでしょう。


 まず、何もしていない状態で、バッテリー・オルタネータ廻りの電流の状態を見ることにしました。
 工具のコーナーでも掲載していますが、このような直流が測れるクランプメーターを使用して、各ポイントの電流の向きと強さを測定します。
 クランプメータでは原理上実効値(rms)で測定されますから、スパーク電流のような方形波であっても直流モードで測定が可能です、ただし一般的な交流のように"ゼロ"を中心にプラスとマイナスに変動する場合は、直流モードでは測定できません。
 このように、通常エンジンが回っている状態では、バッテリーは浮動充電状態となっているだけで、容量が減っていれば充電方向に電流が流れていますが、満充電状態であればバッテリーはあってもなくても同じ状態です。
 何もしていないAZR60/65の場合、バッテリーのマイナス端子からのアース線は、ボディに向って1本、ミッションのケースに向って1本延びています。
 私自身測定してみて驚いたのですが、前述のようにバッテリーは無いのとほぼ同じですが、この状態では約0.2Aの充電電流が流れており、アース線の電流はボディからミッションに向って流れていました。
 このボディからミッションに向って流れる電流は何かというと、点火回路以外の電装品で使われた電気がボディの各部分に落ち、バッテリー駆動ならバッテリーに戻るのですが、オルタネータから出た電気なので、ミッションケースに向って流れ、ミッション・エンジンのケーシングを経由してオルタネータに戻っているという事がわかりました。
 では、点火回路で使われた電流はどこへ行くかというと、スパーク電流そのものはエンジンヘッドからイグニッションコイルの2次巻線に戻り、1次側はイグナイタの電源回路を介してオルタネータに戻っています。

 つまり、アーシングを施工しておられる皆さんの多くが、エンジンヘッドの左右やプラグの間のポイントとバッテリーのマイナスを繋いでおられるようですが、これでは追加したアース線のルートは却って遠回りになり、電流はほとんど流れないムダなケーブルという事になります。
 せっかく定量的な評価をしようとしているのに、定性的な話をしても仕方ないので、実際にバッテリーのマイナス端子とエンジンヘッドの左右のボルトの間にケーブルを繋いで前述の直流クランプで電流を測定してみました。
 その結果が、この図です。 追加したアースケーブルにはわずか、0.2Aしか流れていません。(2本追加すれば半分になります)
 それでも流れているじゃないか・・・(^^;)という話もあるでしょうが、この電流は何かというと、実はバッテリーの充電電流です、バッテリーの充電電流の戻りは、通常ミッションケースへ落ちてオルタネータに戻りますが、エンジンヘッドとバッテリーのマイナスを直接繋いだのでこちらの方がミッションケースからよりも近く抵抗が低いためだと考えられます。
 となると、オルタネータのボディとエンジンヘッドの左右のポイントを直接繋いでやった方が効果がありそうですね。
 で、実際繋いでみました。 うーん微妙ですね(^^;)、0.01Aが最小目盛のクランプメータでは測定不能です、流れていないと言ってしまっていいレベルでしょう。
 イグニッションコイル(AZR60/65の場合はダイレクトイグニッション)はいわゆるトランスになっていて、コイルの2次回路とスパークプラグが繋がっています、電気というのは必ず出たところへ戻りますので、スパークした電流の戻り先はイグニッションコイルの2次側です、エンジンヘッドからオルタネータに対してアーシングを施工しても電流が流れないのはこのためです。
 どうやら、イグニッションコイルの1次側として、イグナイタの電源の戻り先を直接オルタネータにする方法を考えた方がよさそうです。
 とりあえず、今回はここまでです。
 実際に、アーシングを施工しようと思い、どこにアースポイントを設定するのが適切なのか、考えている段階で以上のような結果が得られました。
 とりあえず、来春の実施に向けてデータをもっと取っていくつもりですが、灯火類やオーディオ・ナビに対する効果ってのは、私は全く興味がなくトルクアップや燃費向上に的を絞って検証をするつもりなので、点火回路に対して効果がなさそうな事がわかった現段階で、すでに十分なような気さえしてきました。(^^;)