最終更新日:2004. 8.30
Q.車の電源と家庭の電源の違いって?戻 る
車の電源は直流(DC:Direct Current)の12[V]、家庭の電源は交流(AC:Alternating Current)の100[V]。
直流というのは、プラスとマイナスが常に決っているもの。
交流とはプラスとマイナスが正弦カーブを描いて交互に入れ替るもの。
直流の方が単純で扱い易いが、ショートしたりすると直流の方が被害が大きい。
家庭の電源に交流が使われるのは、発電機は通常交流であることと、電圧の上げ下げが交流の方がやり易いため。
Q.電圧(V)ってなに?
一般的にある点とある点の電位の差を電圧と呼び、通常は電源の線ともう一方の線の間の電位差を電圧と呼んでいる。
大地との間の電位差を大地間電圧と呼び区別することがあるが、例えば大地間電圧が+100[V]の線と−100[V]の線があったとすると、この線の電位差は200[V]となる。
交流の単相回路の場合の多くは片側の線が地面と繋がっているため、大地電圧と線間の電位差は同じで、これを公称電圧としている。
工場などで使われる三相交流では中性点を大地に接地しており、大地間ではなく線間の電位差を公称電圧としている。
車の場合、マイナスアースと呼びバッテリーのマイナスがボディの鉄板と繋がっており、その電位を基準としてプラス側が12[V]となっている。
Q.電流(A)とは?
電子の流れ。
電圧の高いところから電圧の低いところに電流は流れる、つまりプラス極からマイナス極へ電流は流れる・・・という事になっていますが、実際は電子というのはマイナスの電荷を帯びていますので、電子の流れはマイナスからプラスへ向って流れている事になります。
バッテリーでも、マイナス極に電子が発生しプラス極に戻ってくることで電流が流れているんです。
Q.電力(W)とは
電気が流れる事により取りだせるエネルギー。
その時の電圧と電流の掛算により求めることができ、1[V]の電圧の電流が1[A]流れた場合の電力は1[W]である。
1[W]の電力とは、エネルギーに換算すると 3,600[J]に相当する。
Q.電気抵抗(Ω)とは?
電気が流れる時の回路抵抗
超電導では、これがゼロになるが、通常はゼロという物質はない。
1[Ω]の電気抵抗がある物体に1[A]の電流を流すと、1[W]の電力を消費する。
Q.車の発電機ってどうなってるの?戻 る
エンジンからファンベルトを介して、オルタネータという三相交流発電機が回っており、ここで交流が作られ、レギュレータで電圧調整・整流され直流の13.8[V]に変換されて作られています。
Q.車の中で使う電気っていくらかかるの?
1[kWh]あたり、3,600[kJ]の熱量に置きかえることができます。
ガソリンの持つエネルギーは、1リットルあたり約33,500[kJ]、エンジンの効率は約30[%]、オルタネータ・レギュレータの効率を約80[%]とすると、ガソリン1リットルをエンジンで燃焼した場合、取りだせるエネルギーは、8,400[J]ですから、1[kWh]の電気を車の中で使うと、0.43リットルのガソリンを消費することになります。
平成15年9月現在、ガソリン0.43リットルの価格は、約40円ですから家庭の電気料金の倍くらいという計算になります。
Q.電気の使用量が多くなると発電機は重くなると聞いたのですが、本当なのでしょうか?
本当です、電気の使用量が増えると発電機を駆動するのに余計にトルクが必要になります
上のQにも関連しますが、電気を使った分、ちゃんとガソリンを消費しています。
Q.バッテリーの役目は?戻 る
エンジン運転中は、レギュレーターから電力が供給されるが、アイドリング状態や負荷が大きくなった場合にはレギュレーターの能力を超えてしまう事があり、バッテリーでバックアップしている。
また、エンジン始動時にはセルモーターという大容量の直流モーターでエンジンを回してやる必要があり、始動用の電力を用意しなくてはならないため、バッテリーを搭載している。
Q.バッテリーの型番の見方は?
たとえば、 34B−15L などと書いてあると思います。
最初の数字(34)は、バッテリーの性能を表しています、数字が大きいほど高性能という事です。
バッテリーの容量にはAhという単位が使われますが、Ahというのは、その単位通り電流[A]と時間[h]を掛けたもので、たとえば1[A]を10[h]流せば10[Ah]ですね。
ところが、バッテリーに表示されているAhというのは、日本の車のバッテリーの場合には、5時間率という単位が使われており、5時間で放電させる使い方を基準にいくらの容量があるという意味で、それよりも短い時間で放電させると、容量は表示よりも少なくなります、もしも1時間で使う場合にはおおよそ半分になると思ってよいでしょう。
アルファベット(B)と、その後の数字(15)は、バッテリーの外形寸法を示します。 詳細は、ここでは割愛します。
最後のアルファベット(L)は、バッテリーのプラス・マイナス端子の向きを示します。 つまり、(L)と(R)では逆極性になります。
Q.バッテリーの充電は?
レギュレーターが充電器を兼ねている、充電器とバッテリーと負荷を並列に接続し、充電器の容量を越えた場合には自動的にバッテリーが負荷を持つようにするために、充電器には負荷が上がると電圧が下がる垂下特性を持たせてある。
このような充電方法を浮動充電と呼び、レギュレーターの電圧13.8[V]というのは、6セルの鉛蓄電池の浮動充電電圧そのものであり、エンジン運転中は常に浮動充電が行われている。
Q.バッテリーの液はどうして減るの?
バッテリー電解液の成分は希硫酸であり、鉛蓄電池の充放電の原理上、放電が進むと電解液中の硫酸が極板の鉛と結合し、電解液はただの水になっていく、つまり比重が下がっていく。
逆に、充電すると極板から硫酸が電解液中に放出されて希硫酸に戻り、比重が上がる。
充電の際、充電末期には充電効率が下がるため、充電電流の一部が電解液の電気分解に使われ、水が分解されて、酸素と水素になる。
開放型のバッテリーでは、この酸素と水素が大気中に放出されるため、バッテリー液が減っていく。 また液温の上昇による水分の蒸発も要因の一つである。
このため、電解液をこぼしたのでなければ、補給する際は純度の高い水でなければならない。
最近のバッテリーでは、従来の鉛ーアンチモン合金の極板に替り、鉛ーカルシウム合金の極板を使用しているものが多く、発生した水素を極板で水に還元する働きがあるため、バッテリー液の減りは格段に少なくなっている。
Q.バッテリーの寿命って?
いろいろな要因がありますが、一口で言うと極板の腐食や活物質の不活性化による内部抵抗の上昇です。
バッテリーの内部抵抗が大きくなると、大電流が取り出せなくなるので、エンジンの始動ができなくなる。
バッテリーから電気を取り出す時、バッテリーの端子電圧は 内部抵抗[Ω] × 電流[A] の分だけ低下するので、オーディオなどの電流が少ない電装品は使えても、エンジンが始動できなくなるのは、内部抵抗が増大した証拠。
Q.ハロゲンランプとディスチャージランプってどう違うの?戻 る
ハロゲンランプは、フィラメントに電流を流すとジュール熱によりフィラメントの温度が上がり発光する、いわゆる白熱電球の一種。
ディスチャージランプは、電極の間に高電圧を掛ける事でアーク放電させ、発光させる方式、水銀灯や蛍光灯と同じ仲間。
Q.ディスチャージランプの明るさを変える事はできるの?
ハロゲンランプは、電圧を上げれば電圧の二乗に比例して明るくなるが、ディスチャージランプは、電極の間隔や封入ガスの種類により放電電圧が決ってしまうため、電圧の変化では明るさは変らない、電圧を下げていくと、あるところで突然消える。
どうしても明るさを変えたい場合は、インバーターで周波数を変える必要がある。
Q.ディスチャージランプの寿命とは?
ハロゲンランプなどの白熱灯は、断線により寿命を迎えるが、放電灯の場合は断線する事は滅多になく、振動などで電極が破損したり発光管にヒビが入ったりなどの物理的に破損しない限り、電極が放電による摩耗で放電しなくなるまで点灯する。(半永久)
しかし、蒸発した電極が発光管に付着する黒化現象などで照度が下がってくるため、一般的には光量が初期特性の50[%]〜60[%]となった状態を寿命としている。
ただし初期特性とは、放電灯は使用開始から100時間経過までの光量の低下が激しいので、点灯開始から100時間経過の時点を初期特性としている。
Q.ディスチャージランプって放電灯なのにどうしてすぐ点くの?
車のディスチャージランプは、メタハラの一種なので、発光管内の温度が上がって金属分子が蒸発しないと発光しない。
ところが車のヘッドライトではパッシングのような用途もあり、瞬時点灯しないとダメなので、すぐに点くように工夫がされている。
発光管内に、キセノンガスを入れておき、非常に高い電圧を掛ける事により、カメラのストロボと同じようなキセノン発光をさせる、この回路をイグナイタ回路とかスターター回路と呼ぶ、キセノン発光をしばらく継続すると、点灯管の温度が上がり金属分子が蒸発するので、徐々に金属発光に移行し安定状態となる、この時点でイグナイタ回路を切り離し、バラスト回路の85[V]で駆動する。
Q.バルブの箱などに書いてあるケルビンって何のこと?
ケルビンとは、温度の単位で、絶対温度(摂氏で表す温度+273.15度)のことを言い、照明でケルビンと言うと、光の色を色温度で表したもので、明るさとは全く無関係。
色温度とは、黒体という基準物質をある温度に加熱した場合に、放射する光の色をその時の黒体の絶対温度で表したものである。
つまり、5,000ケルビンの色温度というのは、黒体を5,000ケルビン(4,727℃)に加熱した時に、黒体が発する光の色が5,000ケルビンの色という意味である。
Q.ケーブルの許容電流ってどのくらい?戻 る
ケーブルに電流が流れると、抵抗によって電力を消費しジュール熱を発生する、この熱がケーブルの被覆の耐熱を越えないようにしないと被覆が溶けてショートする。
太いケーブルほど、断面積が大きいので抵抗が小さく発熱も少なくなる。
通常のケーブルの被覆はビニルであり、耐熱温度は約60℃だが、架橋ビニルや架橋ポリエチレン、テフロン系の被覆により耐熱温度を高くしたケーブルもある。
通常の車両用のケーブル(AVケーブル)の許容電流は、1.25sqで15[A]、2sqで20[A]程度である。
Q.ヒューズって何?
許容電流を越えると、溶けて回路を遮断する安全装置。
何で溶けるか? というと、ヒューズそのものが回路の一部となっていて、ヒューズが持つ電気抵抗によりジュール熱が発生しヒューズの温度が融点を超えると溶ける・・・と言う訳なので、電気抵抗がある程度高くないと役目を果しません。
最近、よく耳にする、電気抵抗がゼロな?ヒューズ・・・・んなのある訳ないですね。(笑)
鉛バッテリーは内部抵抗が小さく、短絡した場合大電流が流れるので、バッテリーから直接配線するような場合は、必ず配線の許容電流に見合ったヒューズを使用すること。
ヒューズが無い状態で短絡すると、配線の銅が溶けて断線するまで電流が流れ続けるので、車両火災になる可能性が高い。
Q.アース(マイナス)はバッテリーまで配線しなくてもいいの?
バッテリーのマイナスは、ボディの鉄板と繋がっているため、使用する電力にもよるが、通常バッテリーまでアース線を配線する必要はない、近くのボディの鉄板に繋がる金属部分に接続すれば十分である。
ただし、数百ワットクラスの大容量のインバーターなどの場合は、ダッシュボードやコンソールの骨組みなどではなくボディの鉄板に直接ボルトで接続した方がよいでしょう。
Q.リレーって何?戻 る
接点の容量を大きくしたり、接点の数を増やしたり、動作を逆にしたりする場合に使用する。
コイルに電流が流れると電磁石により接点を動作させる。
コイルに電流が流れてONになる接点をa接点、OFFになる接点をb接点と呼び、両方を組合わせてどちらにでも使用できる接点をc接点と呼ぶ。
車で使用する場合は、コイルの定格電圧が直流の12[V]のものを使用する。接点についても許容電流があるので、使用する負荷の電流を考慮し選択する必要がある。
接点の許容電流を越えて使用すると、接点を開くときに発生するアークで接点が溶けて接点が切れなくなることがある。
下の図にマウスを置くと、接点状態に切り替わります。
Q.インバーターって何?
直流から交流を作る機械をインバータという。
逆に交流から直流を作る場合は、コンバータとか整流器と呼ぶ。
ちなみに、直流→直流(直流電圧を変える)の場合は、DC−DCコンバーターと呼び、交流→交流の場合は、変圧器(トランス)という。
車用の小型インバーターの場合は、正弦波ではなくて単純な2段くらいの方形波であリ、周波数も55Hz付近である事が多い、なぜならばAC100Vの電化製品でもモーターを回すような物でなければ、結局また直流に戻しているだけなので、厳密な波形も周波数も必要ないからである。
サイリスタなどの半導体素子のスイッチングで方形波を作っているので、過負荷に弱く、起動時に大きな電流が流れる負荷は動作しない。