夏場の高水温対策

 熱帯魚って、熱いところにいるんでしょ・・・、なんで高水温対策なの?って声が聞えてきそうですが、かくいう私も、熱帯魚を飼い始めた頃はまさか熱帯魚の水槽を冷すことになろうとは思ってもみませんでした。
 ほとんどの熱帯魚や水草類は26℃前後が適温と言われており、30℃くらいまではあまり調子を落すこともなく飼育することができるようです。
 夏場にどのくらいまで水槽の温度が上昇するか・・・ってのは、いろんな条件により左右されるので、一概に言えませんが私の経験では放っておくと35℃程度までは上がることを確認しています。

 水槽の水を確実に目的の温度まで下げるとなると、これはもう水槽用クーラを使うしかないのですが、ちょっと値段が高いのと消費電力が馬鹿になりません。 海水魚の水槽だったら仕方ないかな・・・とも思うんですが、水草水槽ごときにクーラなんて大袈裟なもの使ってられないのです。

 そう、ここは まっくろだ Aquarium の中でも唯一皆さんに有益な情報を提供できている?、DIYコーナー! 当然、クーラーなんて物使わずに簡単に・・・となるわけですが(^^;)、水温を上げる要素には

  1.大気の温度(水温<気温の場合)
  2.照明からの放射熱
  3.濾過装置のポンプの羽根車の回転や水の循環にともなう摩擦熱
  4.濾過装置のモータの発熱(密閉式フィルターなどの水中モータの場合)

などがあり、特に水草水槽は、強制添加した炭酸ガスを逃がさないために密閉式フィルターを使い、光合成を促進するために大量の照明を使うので、普通の熱帯魚水槽よりも厳しい条件になります。
 気温の影響は、部屋のエアコンでも付けっぱなしにでもしなければ回避できませんし、濾過装置についてもどうしようもありません。 

 しかし、照明からの放射熱については何か対策ができそうです。
 昼間よりも夜間の方が気温が低いので、照明の点灯時間を昼夜逆転させるという手がありますが、夜間でも気温が30℃程度であることを考えると、あまり効果は期待できません。(やらないよりはマシでしょうが・・・)
 一般的に行われているのが、照明器具を水槽から10cm程度持上げて水槽と照明器具の間を空けて熱を逃す方法です、この方法には各社から発売されている「ライトリフト」などのパーツを使用して、水槽のガラス蓋を外してしまえば簡単にできます。
 しかし、夏場の日中には気温が35℃程度になる事を考えると、これだけでは焼石に水です、熱を与えないだけではなくて、なんとか熱を奪う方法を考えなくてはいけません。

 熱を奪うと言うのは、冷たい物で冷やすという事で、水槽用クーラが真っ先に思い浮かびますね、でもそれじゃ話が違います(^^;)、クーラーを使わずに水温を下げようとすると、氷など温度の低いものを水槽に入れるとか、連続的に水換を行うなどという手もありますが、手間が大変で現実的ではありません。
 そこで、水の蒸発潜熱を利用し、熱を奪ってやろうという方法をとります。
 皮膚に水を付けて風を当てると涼しいですよね?、あれは水が蒸発する際に蒸発潜熱を奪うためで、1kgの水が蒸発する際に、539kcalの熱を奪います。 つまり、1リットルの水が蒸発する時には、90cm水槽の場合 3℃温度を下げる効果があるという事です。
 水槽の水を沢山蒸発させればその分の蒸発潜熱が奪われ水温が下がるということで、水の蒸発を促進するために、直径10cmくらいの小型のファンを使い水槽の水面に常に空気を送り水を蒸発させるのです。
 ファンの風量とその時の気温と湿度により、かなり効果に違いがでますが、経験上30℃程度に水温を抑えることは可能なようです。
 ただし、私の経験だと多い日には一日に3リットル以上の水が蒸発するので、室内の換気をしっかりしないと室内にカビが生えたり結露するなどの影響がでるかもしれませんし、水の補給が必要ですので、長期間家を空けるような場合にはファンは止めておいたほうがいいと思います。


 また、気温の低い日や夜間にはファンといえど、かなり温度が下がりますので、できれば温度が下がったらファンを止めるようなコントロールをした方がベターです、ヒータ用のサーモは使えませんが、ファン用のサーモというのも発売されてますので、それを使うのもいいでしょう。
 ヒータ用のサーモとファン用のサーモの協調をうまく取ってやらないと、ヒータが一生懸命暖めてる横からファンが冷やすなどというリッチな?水槽になってしまいますので、要注意ですね。
 ヒータ用のサーモだけで、この辺の協調をうまく取りながらファンも制御する方法がありますので、こちらへどうぞ